the か a/an か ― 分かると思っているかどうか

使い分け

the :あくまでも発信者の主観で「ねえ、分かるでしょう?」

語学全般にいえること。それは、細かいルールよりも大枠をとらえること。それをとらえた上で、実際の運用、つまり「ネイティブはどう使っているか」にたくさん触れることが大切です。

というわけで the の大枠について考えてみると、「自分が何を指しているのか、相手は分かっている」と思っているときに、「ねえ、分かるでしょう?」と訴えかけるために付けるものです。

「相手は分かっている」と思う理由はさまざま。to name a few、ちょっと挙げてみると、① 1つまたは1人しか存在しないから、②目の前にあるから、③それについて相手と話したから、④世間で話題になっているから。

① 1つまたは1人しか存在しないから the

the sun なんかは分かりやすいのですが、「この世に1つ」でなくても「ある範囲内で1つ」しかない、という場合も。

親と子に役割を分けて遊ぶトランプのゲーム、たとえばブラックジャックのルールを説明するとしましょう。「まず、ゲームの親を決めます」と書くなら

First, decide the dealer of the game.

となります。なぜなら親になるのは1人だけだから。ちなみに parent, child とはいわず、dealer, player です。これを

First, decide a dealer of the game.

としたなら、親役が複数いて(そんなゲームある?)「そのうちの1人を決めましょう」ということになってしまうわけです。

② 目の前にあるから the

発信者自身の目の前ではなく、相手の目の前です。たとえば、ユーザーマニュアルで「装置を裏返して電池フタを外し、電池を1本入れてください」なら

Flip over the device to remove the battery lid and slide in a battery.

「あなたが今触っている、その装置ですよ」ということで the device。a deviceなら「そのへんにいくつかあるうちの、どれでもいいので1つ取って、裏返してください」というニュアンスになってしまいます。

電池フタも、その装置に1つしかないでしょうから the battery lid。入れる電池は(サイズさえ正しければ)どれでもいいということで a battery としていますが、もし付属品で1個付いていて、その電池を指したいなら the battery にします。

③ それについて相手と話したから the

その直前に話していた場合はもちろん、「以前、なんとなくほのめかしたことがある」という場合も含めて。話していなくても、たとえば、以前「オンライン投票の透明性」についてのポジティブな意見を一緒に聞いた人に対してなら、

I have the impression that online voting is more transparent than in-person voting.

と、the impression となります。これが an impression なら、相手にとって新しい見解を披露することになります。

④ 世間で話題になっているから the

「最近みんなが話している、あの」ということで the problem of marine plastic pollution。

a problem of marine plastic pollution というと、「海洋プラスチック汚染に関する諸問題のうちの、ある1つの問題」ということになります。

………………………..

ほかにも「相手は分かっている」と思う理由はいろいろありそうですが、あくまでも「相手は分かっている」と思う、ですからね。実際に相手が分かっているかは問いません。主観的な判断ということです。ですから、特に③や④のあたりは、定冠詞 the を付けるべきか、それとも不定冠詞 a または無冠詞なのかの線引きは曖昧で、ネイティブでも個人によって運用はまちまちだったりします。

この大枠だけつかんで、あまり細かいルールを気にせず、いろいろ触れてみて、自分で書いてみるのが一番です!

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